ゲーム業界における「IP」とは

業界用語、それは流行語の如く、一定の範囲にしか伝わらない言葉である。これは日本だけでなく各国に見られる現象であり、特にインターネットが発達した現代では様々な言葉が生まれている。業界用語を使うことにより、他人に情報が漏れにくく、なによりそれを使うことが1つのアイデンティティになる。

IPとは

近年、ゲーム業界で多く使われている「IP」という用語は「intellectual property」いわゆる「知的財産」の略語だ。「IP」という単語は最近よく使われるようになってきたが、その存在はかなり前からある。

IPの定義について

ゲーム業界における「IP」というと、多くの人は「既存の作品(漫画やアニメ)を題材にしたゲーム」という認識であり、「版権」の意味で捉えている人も多いだろう。だが「スーパーマリオは任天堂の自社IPだ」というと、そのタイトルの原作がどういうものであれ、新規や既存に関わらず、「知的財産権」を指すこととなる。また、IPは「人気な」とか「大型」と言われる事が多く、「版権」を示すならば、知的財産権は法律で守られているため、特定のIPが「強い」という事はないだろう。 このように定義としてはまだ定まっていない感じもするゲーム業界の「IP」だが、筆者が思うには作品全体の設定(世界観やキャラ設定)と知名度、そして知名度による既存ファンの存在を全部含め、その無形資産がゲーム業界の「IP」ではないかと思う。

IPコンテンツのメリット

高い知名度

ゲームが売れるにはまず周囲にその「名前」を知って貰う必要がある。生まれたてのIPは、例えると若手の芸人と同じく、まずは名前を覚えてもらい、徐々に有名になっていく。そしてその中、途中で消えるものや、発展したはいいが、一部にしか伸びないモノも出てくるだろう。その反面、有名IPを使えば、既に世に知れ渡っているため「名前を広める」必要がなくなる。

既存の固定ファン

IPコンテンツを使用するメリットの1つに「既に一定のファンが存在する」がある。作品に対する愛が強い場合、たとえ他に同じジャンルのゲームが存在しても、大抵の人は自分が愛する作品が使われているゲームを選ぶだろう。

固定される印象

RPGといえば日本人の多くはすぐにドラゴンクエストやファイナルファンタジーを思い浮かべるだろう。一度強くそのイメージを植え付けられると、同じジャンルのゲームを見る度、自然に有名IPの方も思い浮かべる。印象の再強化のみならず、それにより他の同ジャンルゲームに対する印象が薄くなり、自然に競合を排除することができる。

IPコンテンツのデメリット

ライセンス費用

これは言わずもがな、有名なIPであればあるほど、そのライセンスの料金も高くなる。その分見返りも大きいが、初期投資の時点でかなりの財力が必要になる。

表現に規制がある

元々存在する作品であるため、世界観や設定等により、表現方法が縛られることも多いだろう。特に知名度が高いほど、その作品に対する固定観念があるため、ゲームオリジナルな設定とキャラを入れてしまうと、固定ファンの反感を買う恐れがある。

IPについてのまとめ

優れたIPが持つ力は巨大であるが、そこまで成長するには時間が非常にかかる。そして有名になったIPをゲームにしても、綿密な企画とマネージメントがない場合、逆に今まで努力して築き上げたIPの名に傷がつく。本当に盲信的なほどに原作を愛する人でなければ続かない、いわゆる「ファン向け作品」がその良い例だろう。今では逆に「有名IP」のゲームに対する印象が良くないプレイヤーも多いなか、現存の有名IPをどう管理するかを考え直しつつ、新たな独自のIPを発展した方が良いと、筆者は考えている。